1976

SUNRAIN/ASH RA TEMPEL/
from NEW AGE OF EARTH(MANUEL GOTTCHING)

 この作品からASH RAと改名するんだと思うけど、言いやすい名前なのでASH RA TEMPELのままに書かせていただきます。
 自分がジャーマン物で一番好きなアーティストをあげなさいといわれたら、間違いなくこの人を上げる。初めて聞いたのは、数年前なのだが、今まで聞いていた音楽とはまったく違うところで鳴り響く音。こんな音に今まで出会っていなかったというくやしさ。このNEW AGE OF EARTHといい、INVENTIONS FOR ELECTRIC GUITARといい、大仰すぎて恥ずかしくなるほどの題名なのだが、この人の音を聞かされると、それも納得できる。「どうぞこの大仰な題を使ってください。あなたには、それがふさわしいです」と、屈服してしまう。理屈ぬきに素晴らしいと思う。
 SUNRAINは、前作のようにギターといくつかのシーケンサーを使ってのギターの反復音による音、音楽の発明という感じではなく、シンセも使っての前作の素晴らしさを凝縮した音である。繰り返し繰り返し流される音は、うっとりさせれてしまう。彼がどんなことをイメージして、SUNRAINとしたかはわからないが、とってもポジティブで、うきうきしてしまう。幾重にも重ねられたキーボードによるリフの繰り返し、そして、遠くに響くシンセ、希望に満ちた展開。ギターもとても心地よく鳴り響いている。ベースもドラムもないんだけど、ここには幸せがある。
 何か涼しげなきらめきが満ちていると思う。聞いたことのない人は、ぜひ探し出して聞いてください。はまる人は、絶対にはまりますし、多くの人にもっと聞かれるべき音楽だと思います。
                                        (2001年7月23日)

DO YOU LOVE ME/KISS
/FROM DESTROYER
                      (K.FOWLEY−B.EZRIN−S.PENRIDGE)
 自分がはじめて洋楽のLPを買ったのは、クイーンのファーストとそれと、一緒にうちの姉が買ってきたのが、このキッスのデストロイヤー。「こんなの聞くのやめたほうがいいんじゃない?」といったのを覚えている。うちの姉は、「1999」当時のプリンスもいいといっていて、「そんな気持ち悪いのどうして聞くと?」といったことも覚えている。彼女は、目は確かである。
 今回、久しぶりにこのデストロイヤーを聞いていて気がついたのは、ずいぶんボブ エズリンが作曲しているということ、それと、ジーン シモンズの見せ所であり、血吐きのときの名曲のGOD OF THUNDERの作曲がポール スタンレ−であること。そして、この中で最もキッスらしいこのDO YOU LOVE MEの作曲がキッスのメンバーがしていないことである。
 デストロイヤーは、アライブと並ぶキッスの名作であることは言うまでもない。毒々しいほどの雰囲気をもったボブ エズリンのプロデュースは最高だと思う。重々しいサウンド、効果的なサウンドエフェクト、キッスの魅力であるキャッチなメロディーを効果的に生かした音作り。何をもってもいうことがない。しかも、かんたんにひけそうな曲。こんなに簡単な曲で、ここまで耳に残る音を作るバンドってないな。パンクバンドだってもっと難しい曲をするぞ。ベイシティローラーズぐらいか。でも、キッスが偉大なのは多くのフォロワーを生み、ずっと生き続けたこと。年には勝てなかったけど。
 DO YOU LOVE MEは、ドラムの音と、その響きにつきる。甘ったるいベスの後口を覚ますかのように、スカッと晴れたドラムの音。ポールスタンレーの響く声とあいまって、実にすがすがしい。あのメイクのバンド、「地獄の軍団」キッスなのに、このすがすがしさはなんだ。それが最高の魅力なのかもしれない。聞き返してみて、GREAT EXPECTATIONSやSHOUT IT OUT LOUDのすがすがしいこと。清涼感さえ漂う。DO YOU LOVE MEは、ボブ エズリンらしくないぞと思って聞いていたら、ボブ エズリンも曲作りにかかわっていた。う〜ん、深い!!
                                        (2001年6月26日)

ISN'T SHE LOVELY?/
           STEVIE WONDER

/FROM SONGS IN THE KEY OF LIFE
                                  (STEVIE WONDER)
スティーヴィーワンダーの70年代3部作が終わった後の、渾身の一作のキー オブ ライフを代表する1曲。典型的な親ばかソングである。自分の娘が生まれたのがうれしかったのか、こんなにいい曲に仕上げてしまって、ぜんぜんそのこのことを知らない自分までそのこのことを祝福しないといけなくなってしまった。少し意味はちがうけど、ヘイジュードみたい。ふろに入れるシーンや、娘の泣き声まで入れて本当に親ばかである。有名人の特権か。自分も娘が生まれたときや育てているときはすごくうれしくて、いろいろと自慢したくなるものだった。気持ちはよくわかる。人間スティヴィーと言うところか・・。
 曲は、キャッチーなメロディーとシンセを中心にした演奏、そして、なんと言ってもあの甘いハーモニカである。文句のつけようがないじゃないか。このころのスティーヴィーはなになってもすごかったな。
(2000年12月10日)

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